2015-06-21 日暮れまでに マイケル・カニンガム 読書 今月初めから読んでいたマイケル・カニンガムの「日暮れまでに」を読了。 「BY NIGHTFALL」 Michael Cunningham 訳:馬籠清子 岩波書店 マイケル・カニンガムといえば「めぐりあう時間たち」(The Hours)で有名です。 映画もすてきでした。 「日暮れまでに」のセットは21世紀のN.Y.。 よりスタイリッシュ、よりイメージがしやすいストーリーです。 主人公ピーターはニューヨークの真ん中で、美しい妻レベッカと暮らす40代男性の美術商。 そこに、美しくそしてドラッグ中毒らしい(!)妻の弟ミジーがころがりこんでくる。 ピーターはなんとその彼ミジーに恋の幻影を見出し、戸惑い、恋の甘露を味わいながら、かつ冷静に、 恋にやつれる自分自身を哀れむ。 あらすじはなんとも昼ドラ路線なのですが、一筋縄ではいかないのがマイケル・カニンガム。 ピーター所有する美術品の描写や解釈、そしてところどころにちりばめられる著名な 文学作品のカットや言い回し・・・ なんでしょう、とっても奥行き深く、豪華です。 読書好きにはたまらない、「あ、これは『ボヴァリー婦人』のフレーズ!」 ファッション好きにはぐっとくる「何年か前に購入したプラダのペンシルスカートに、グレーの カシミアセータをあわせて着こなす」というヒロイン。 今日的エンターテイメント性と文学性の両輪をもつ小説に出会うこと。 読書の至福です。 ■恋愛度 ★★★ ■文学的至福 ★★★★ ■ファッション ★★★★ ■この本、買い or 借りる ★★★ (20代なら借りる、40代なら何度か読み返すかもなので「買い」)