ひびこれせんたく

心を「こんこん」とノックしてくれるものを選択したい。

日暮れまでに マイケル・カニンガム

今月初めから読んでいたマイケル・カニンガムの「日暮れまでに」を読了。

 

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「BY NIGHTFALL」 Michael Cunningham 訳:馬籠清子 岩波書店
 
マイケル・カニンガムといえば「めぐりあう時間たち」(The Hours)で有名です。
映画もすてきでした。
 
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「日暮れまでに」のセットは21世紀のN.Y.。
よりスタイリッシュ、よりイメージがしやすいストーリーです。
 
主人公ピーターはニューヨークの真ん中で、美しい妻レベッカと暮らす40代男性の美術商。
そこに、美しくそしてドラッグ中毒らしい(!)妻の弟ミジーがころがりこんでくる。
ピーターはなんとその彼ミジーに恋の幻影を見出し、戸惑い、恋の甘露を味わいながら、かつ冷静に、
恋にやつれる自分自身を哀れむ。
 
あらすじはなんとも昼ドラ路線なのですが、一筋縄ではいかないのがマイケル・カニンガム。
ピーター所有する美術品の描写や解釈、そしてところどころにちりばめられる著名な
文学作品のカットや言い回し・・・
なんでしょう、とっても奥行き深く、豪華です。
 
読書好きにはたまらない、「あ、これは『ボヴァリー婦人』のフレーズ!」
 
ファッション好きにはぐっとくる「何年か前に購入したプラダのペンシルスカートに、グレーの
カシミアセータをあわせて着こなす」というヒロイン。
今日的エンターテイメント性と文学性の両輪をもつ小説に出会うこと。
読書の至福です。
 
■恋愛度      ★★★
■文学的至福    ★★★★
■ファッション   ★★★★
■この本、買い or 借りる  ★★★ 
(20代なら借りる、40代なら何度か読み返すかもなので「買い」)